ZX-10R クラッチ点検、交換

※2019.04.02に公開した記事と基本は同じですが、

英語版サービスマニュアルが手に入ったので追記し、再度公開しました

 クラッチの点検項目も追記しました。追記した文章は青色にしています。

以前から高回転時にクラッチが滑る症状が出ていた

2014年式のZX10Rのフリクションプレートを交換しました。

2011~2015年式はたぶん同じだと思います。

※素人作業ですので参考にする場合は自己責任でお願いします

・スチールプレートの種類と部品発注 

ZX-10Rのクラッチはフリクションプレートが二種類、スチールプレートは三種類あります。

スチールプレートは 2.9 mm が 7枚と 2.6 mm が二枚。

状況によっては2.6mmの物を2.3mmと交換して全体の厚さを調整するみたいです。

2.6 mm のプレートを 2.3 mm か 2.9 mm に交換して、

スリッパークラッチの効きを調整するみたいです。

調整はクラッチハウジングのみを組み立て、クラッチスプリングを付けていない状態で

スリッパークラッチを作動させて動く距離を測定するみたいです。

調整時 2.3 mm と 2.9 mm の同時使用はしてはいけません。

今回はスチールプレートの厚みがわかないのと、フリクションプレートのみの交換で

滑りは改善される事を願ってスチールプレートは発注しませんでした。

今回発注した部品は下記のものです。

純正部品は Webike などのネットショップのほか、バイク用品店でも取り寄せてくれます。

液体ガスケット TB1211F : P/N92104-0004 

・クラッチカバー取り外し 

サイドカウルを外してクラッチカバーのボルトを外していきます。

クラッチワイヤーのブラケット部分のみ長いボルトが入っていました。

オイルは抜く必要ありません。

クラッチレバー側とエンジン側のワイヤーを外します。

後はケースを手前に外すとクラッチが現れます。

位置決めのピンが 3本入っているので斜めに引くとケースが外れません。

下側に見えるのはオイルポンプ駆動用のチェーンみたいです。

・クラッチプレート取り外し 

クラッチスプリングの取付けボルトを外します。

なぜか 1枚だけずらしてあるフリクションプレート

ネットで検索するとカワサキはこのようになっているそうなので

マニュアルでも 1枚ずらすように指示があります。

特に考えずに元通り復旧することにします。

スプリングを全て外すと手前のスプリングプレートが外れます。

あとは順番にクラッチプレートを外していきます。

写真には写っていませんが、 1番奥のスチールプレートの手前に

リング状のスプリングとスプリングシートが入っています。

全体的に焼けて真っ黒。スチールプレートも交換した方が・・・

今回は部品がないのでそのままのプレートで様子を見ます。

スチールプレートは 2.6 mm と 2.3 mm が 1枚づつ入っていました。

クラッチハウジングはこんな感じ。

こっちはフリクションプレートのカスで汚れています。

ウエスで簡単に取れましたが予想以上の汚さにびっくりです。

スチールプレートは購入していないので、とりあえず表面を磨いて復旧します。

金タワシで磨いて組みましたが、おすすめはしませんマニュアル上は交換の対象です。

・クラッチプレート、スプリング、ハウジングの点検 

今回は特に測定もせずに予定の部品のみ交換しましたが、部品の点検は下記のように行うみたいです。

クラッチプレートの摩耗、損傷点検

・フリクションプレートとスチールプレートの目視点検

 かじり、焼き付き、オーバーヒート(変色)、変摩耗があった場合は該当部品交換。

・フリクションプレートの厚み測定

 各プレートのいくつかのポイントの厚みを測定し、許容外の場合は部品交換。

 通常   2.72 mm ~ 2.88 mm

 使用限界 2.5 mm

クラッチプレートの歪み点検

・定盤にクラッチプレートを置き隙間を測定

 定盤とスチールプレートまたはフリクションプレートの隙間を

 シックネスゲージで測定し、許容外の場合は部品交換。

 通常   0.15 mm 以下

 使用限界 0.3 mm

クラッチスプリングの点検

・クラッチスプリングの長さ測定

 クラッチスプリングの自由長を測定し、許容外の場合は部品交換。

 通常   43.5 mm

 使用限界 42.1 mm

クラッチハウジング点検

・クラッチハウジングの目視点検

 クラッチプレートによる段付き、摩耗、打痕が無いか点検する。

 損傷があった場合は部品交換。

・クラッチプレート取り付け 

クラッチハウジングをできる限り掃除したらクラッチを組み立てます。

フリクションプレートは 2種類あって、ライニング・ブロックの枚数で見分けます。

下記写真の左側がコルクライニング 48枚 右側がコルクライニング 36枚です。

フリクションプレートはオイルに浸けないといけないみたいですが、

適当な入れ物が無かったので、プレートが入っている袋でオイルに浸けます。

オイル交換する予定も無く、オイルも用意していなかったので、

オイルパンからジェットオイラーで抜いたオイルを使用しました。

クラッチハウジングが結構汚かったので、クラッチ交換と同時にオイル交換した方が良かったですね。

クラッチプレートをオイル浸けにしたら取り外しの逆の手順で取り付けていきます

クラッチプレートは下図の通りに取り付けます

・フリクションプレート( ライニング ブロック 48枚) [#1, #10]

・フリクションプレート(ライニング ブロック 36枚)[#2~ #9]

・スチールプレート(T=2.9 mm) [#1~ #7]

・スチールプレート(T=2.6 mm) [#8, #9] ※ 2.3 mm or 2.9 mm の場合あり

・スプリングシートⒶ、リングスプリングⒷ取り付け ※Ⓑの向きに注意

 ※Ⓒの枚数がライニング ブロックの枚数です。

 ※最後のフリクションプレート [#10]は爪をずらして取り付けます。

スプリングプレート取り付け

クラッチプレートの取り付けが完了したらプッシャー(青丸部品)に二硫化モリブデングリスを塗布。

サブクラッチハブの切り欠き(赤丸部)に合うようにスプリングプレートを取り付けます。

クラッチスプリングとスプリングホルダーを取り付けてクラッチボルトを締めます。

 ※クラッチスプリングボルト締め付けトルク 11 N・m( 1.1 kgf・m)

締め付け順序に指定はありませんが、対角に締めるほうがいいと思います。

・クラッチカバー取り付け 

クラッチカバーとクランクケースを清掃し、

クランクケースとガスケットの接触部(赤丸部分)に

液体ガスケット TB1211F : P/N 92104-0004 を塗ります。

その上から新しいガスケットを取り付けます。

作業した時はマニュアルが無かったのでシリコンシーラント無しで組み立てましたが、

約 1年経過後も特にオイル漏れ等は発生していません。

ガスケットの位置が決まったらクラッチカバーを取り付けボルトを締めます。

※数字の順番にボルトを締め付ける

※クラッチケーブルブラケット取り付け部は長いボルトを使用

あとはクラッチワイヤーを戻して、クラッチレバーの遊びを 2 mm ~ 3 mm に調整します。

クラッチ交換後は、クラッチの厚みが変わったことで、結構大きな遊び調整が必要でした。

後は滑りが無くなるのを祈るばかりです(笑)

約 1年乗りましたが今のところ滑っていないのでとりあえず成功です。

必要工具類

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